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2020/01/08 13:26
その2はこちら
○機織りをする
こちらの女性は、この工房でも古株で腕のいい職人です。見事な手捌きですね。
動画では右手に房を持って叩いているような動作が見られますが、これは叩いているのではなく織機上部に繋がった線でシャトルを操作しています。
このような複雑な柄のジャガード織のものも。縦糸の動きをパンチカードで操作しています。
一見なんの変哲もない、穴の空いた紙ですが、これが柄のガイドになります。この工房になくてはならないものなのです。
○仕上げ
艶やかに織り上がったパシュミナ。
「繊維の宝石」の別名があるのも肯けます。
まるで水の流れるようなしっとりとした優しい手触りから、ウォーターパシュミナとも呼ばれます。
製織の際についた汚れなどを取り除き、ストールの大きさに裁ちます。パシュミナはとても希少なものですので、無駄のないよう計算して、丁寧に完成品へと仕上げていきます。
パシュミナ100%のストールの端の処理は切りっぱなしになっています。毛が大変柔らかいためにフリンジを撚ることができないのです。
アイロンをかけ、タグをつけ、検品が終われば完成です。
タグの素材表示を見るとcashmere(カシミヤ)と書いてあります。日本ではパシュミナという表示はできないのです。
これにもストーリーがあります。
英国の故ダイアナさんが皇太子妃だったころ、パシュミナは彼女の愛用品として世界的に有名になりました。
世界中の女性はこぞってパシュミナを買い求め、日本でも1枚5万円はくだらない高級品として売られていました。
ところが、これを機に世界中で偽物が横行したのです。日本ではこれを受けてPashminaという表記をやめ、パシュミナ輸入業者はCashmereという表記に統一したのです。
しかし、パシュミナの伝説はちゃんと生きていました。
一般的なカシミヤよりさらに細く柔らかな山羊の冬毛のみを使用したパシュミナ。
そのパシュミナ山羊はヒマラヤの高地4000メートルに生息し、ヒマラヤ山羊とも呼ばれます。
そのパシュミナのさらに喉とおなかの毛だけを使ったパシュミナ生地は
一般のカシミヤと比べても、きめ細かさが段違いです。
極上のうっとりするような肌触りと保温性はパシュミナならではなのです。
次回、didiオーダーの色選び!
どんな色にしようか……と時間をかけて選びました。
その4はこちら